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ホーチミン1区で見たヘム(裏路地)。ビルとビルの隙間に息づく生活

ホーチミン1区、ブイビエン地区のヘム 観光・体験
観光・体験

ホーチミンの表通りには、無数の小さな脇道があります。これらをベトナム語で「ヘム(Hẻm)」と呼びます。

ビルとビルの隙間にある細い道。
観光で歩いていると、一度は目にしたことがあるはずです。
または見過ごして通り過ぎているかもしれません。

先日、ブイビエン通りにあるマッサージ店へ向かう途中、Googleマップを頼りに歩いていた私は、この「ヘム」の中へ迷い込みました。

クネクネと折れ曲がる細い道を進み、ようやくブイビエン通りへ抜け出たとき、まるで異空間から現実に戻ってきたような感覚がありました。


ホーチミン1区、ブイビエン地区のヘム

ヘムの中で私がいちばん驚いたのは、「心地よい無関心」でした。

一人でカメラを持って歩く余所者の私を、ヘムに住む人たちは誰一人としてジロジロ見ません。視線で追うことも、声をかけることもない。ただ、そこに“いつも通りの生活”が流れているだけ。

初めてベトナムを訪れたときに感じた、「干渉されない気楽さ」を思い出しました。

「やっぱりホーチミンは好きだ」

そう思いながら、私はヘムを歩いてきました。

ホーチミンという街

ホーチミン1区

これまで私は、ホーチミン1区を「ベトナムの商人と、世界中の観光客の街」だと感じてきました。
店を切り盛りするのはベトナム人、客の大半は外国人。そんな構図です。

近年の日本でも、都心部の物価高騰やインバウンド増加により似た光景が見られますが、ホーチミン1区はそのさらに先を行っている印象があります。

渋谷に行けば、今でも日本の若者が大勢集っています。しかし1区で、現地の学生たちが大人数で飲み会をしている姿は見かけたことがありません。

不思議に思い、現地パートナーであるMFVの社員たちに聞いてみました。
「普段、1区で遊んだり食事をしたりするんですか?」
返ってきた答えは、とてもシンプルでした。
「行きませんよ。高いですから」

仕事帰りに一杯飲む場所でも、休日に家族で買い物をする場所でもない。
1区は、完全に「観光客の街」のようです。

だからこそ、ヘムに一歩足を踏み入れたとき、私は“別のホーチミン”を見たような気がしました。

ヘムの生活

ホーチミン1区、ブイビエン地区のヘム
電線の束が特徴的です

一歩ヘムへ入れば、剥き出しの生活がありました。

住宅の隙間には小さなカフェや美容院、食堂。 開け放たれた玄関からはリビングでくつろぐ家族の姿が見え、道端では腰を下ろしてのんびりとお茶を飲む人々がいます。

時に壁画などのアートがあったり、ノスタルジックな空間だったり、通り抜けるだけで色々な光景を見ることが出来ます。

ヘムの入り口

ブイビエン通りからのヘムの入り口
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ブイビエン通りからのヘムの入り口

ヘムの入り口は、ビルとビルの隙間で無機質な場合もありますが、左右に店が続いていることも多いです。
その場合はにぎやかなアーケードがあったり、店の看板が並んでいたりします。

なぜ、「迷路」が生まれたのか

ホーチミン1区、ブイビエン地区のヘム

近代的なランドマークが建ち並ぶ一方で、なぜこれほど入り組んだ街並みが残っているのか。そのルーツはベトナム戦争時代に遡ります。

1950年代から70年代にかけて、戦火を逃れるために地方から多くの人々が安全なサイゴン(現ホーチミン)へと流れ込みました。爆発的な人口増加に対し、公的な住宅建設は到底追いつきません。 人々はわずかな空き地を見つけては、自らの手で家を建て、家族を呼び寄せました。家と家の間に残された細い隙間が、自然と「道」になり、枝分かれを繰り返すことで、今のような「アリの巣」状の街が出来上がったのです。

全体を覆う古いコンクリートの質感は、その時代を生き抜いてきた証でもあります。

コミュニティを守る「防犯」の役割

ホーチミン1区、ブイビエン地区のヘム

この複雑な構造は、外敵や見知らぬ者が簡単に入り込めないようにするための「自衛」の手段でもあったと言われています。 住人にとっては勝手知ったる庭ですが、部外者にとっては一度入ると出られない迷宮。この構造が、激動の時代において、住民同士の結束を強め、家族の安全を守るシェルターの役割を果たしてきました。
私が感じた「心地よい無関心」も、こうした強固なコミュニティがあるからこそ生まれる、余裕のようなものかもしれません。

観光客として歩くときの注意点(追記)

ヘムは基本的に安全ですが、あくまで「人の生活空間」です。

  • 家の中などを無理に撮影したり、アップロードしない
  • 夜遅くや、明らかに私有地の奥には入り込まない
  • 騒がず、立ち止まりすぎない

このような配慮をした上で通れば、ヘムはとても静かで、危険ではない場所です。

まとめ

ホーチミン1区、ブイビエン地区のヘム

観光の合間に、ふと見ると横にある細道に入ってみると、そこには、華やかな高層ビルの影で、何十年も変わらずに続いてきた力強く、温かい人々の暮らしが息づいています。
Googleマップを片手に通ってみるのもまた別の観光ルートとなるかもしれません。

区画整理が進み、こうしたヘムが近代的な建物へと姿を変えてしまう前に、
今のホーチミンの“素顔”を、ぜひ一度、自分の足で歩いてみてください。


撮影したヘムの場所

今回撮影したヘムの地域は、ブイビエン通りと、9月23日公園の間のヘムです。

※地図画像は Google マップより引用

Googleマップ:https://maps.app.goo.gl/eYK6k99ABuQMKYjQ7



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